私はこれまで一貫して人物像を制作し、なかでも女性像を制作しています。 幼少期から自分自身の「女性であること」を強く意識しながら生きてきました。 その背景には、家庭や社会の中で、力の構造や役割の偏りを感じる場面が多かったことがあります。
目の前で繰り返される言葉や態度、そして私を取り囲むメディア(漫画やアニメ、ドラマなど)が描く世界の多くは、 男性を中心とした価値観の上に成り立っているように感じられました。 そうした中で、女性であることや、母になるということを、どこか否定的に捉えていた時期もあります。 また成人してからの私は、「子どもを持つか」「キャリアを追うか」という人生の選択を自身に問い続けてきました。
女性像を彫刻することは、そのような私自身の経験や葛藤に向き合う過程であり、 女性の心情やあり方を模索し、形にすることでもあると言えます。
現在の私は、もはやこれらの二択の中にはいません。 制作を続ける中で、自分以外の女性、特に逆風のなかでも静かに根を張るように生きる女性たちに 強く惹かれるようになりました。
カリスマ性や派手さはなくとも、真摯に物事に取り組み、 困難な状況下でもその歩みを止めない。 そんな静かな強さを持つ彼女たちの姿に、深い共感と敬意を抱いています。
私は、彼女たちの強さの中にある美しさを見つめ、 彼女たちの身体とその内面を、ひとつの彫刻として残すことに関心を深めています。
吉田 愛美
1994年 宮城県生まれ
2017年 東北芸術工科大学 彫刻コース 卒業
東北芸術工科大学 非常勤講師 (2023年–現在)
Instagram: @ajmgwd